プランニングplanning

Hisamatsu Project

中空のメゾネット

 2-7階では、ロフトを利用した空間構成が中心でしたが、8,9階ではさらにメゾネットへ発展させた空間がメインとなります。
 限られた開口部を有効に利用するために、垂直方向に広がる開口部からメゾネット上層部の床面を後退させ吹き抜けとすることで、上から可能な限りの採光を取り入れ、明るい開放感を創り出しています。
 断熱性の高いLow-eガラスが天井から床まで広がる大窓からは、上層階ならではの突き抜けた景観が楽しめます。中空に浮かぶメゾネット、独特の浮遊感があります。
 縦の広がりを敢えて余白として残す、生活空間として必要な床を敷き詰めないアプローチは、もともと日本の住宅に見られる床の間や縁側に考え方が似ているかも知れません。
 上階は、窓に向けてバルコニーのような仕切りにすることで、吹き抜けを通して下のフロアと繋がることが出来ます。鉄製のオブジェの様な階段を軸に縦に重なる空間は、ドアや壁で隔てるのとは違うゆるやかで立体的な棲み分けを促します。上階の手すりにもたれて窓から見える景色を見ながら下のリビングにいるパートナーとちょっとした会話を楽しむ、黙っていてもお互いの気配を感じて生活する。そんなこの造りならではの日常を過ごせるかもしれません。
 賃貸住宅では、住む人の年齢、家族構成、ライフスタイルによって、そのときに応じた住まいをある程度まで選ぶことができます。どうせ選ぶなら、楽しめる空間を選びたい。1LDK、2LDK といった間取りは一般的で選びやすさがあります。けれどもその前に部屋を足さない、余白を取り入れることで体感的ゆとりや満足感、リラックス、家に帰る喜びや友人、知人を招き入れるちょっとした楽しみが生まれたら、そんな暮らしを提案できればと考えています。
 次回は、10,11階のフラットフリーな空間をご紹介します。
 竣工は5月12日予定です。
8,9F断面図
Cタイプ/ Dタイプ
メゾネットでより立体的な住空間が楽しめる
9Fのメゾネット上階から下階を見下ろしたところ
まだ雑然としています。
施工中の鉄製階段
下階の開口部工事用シートを通しての眺め
2F Atype ほぼ内装が完成
窓にはブラインドが取り付けられています。