2014.07.31
31.新国立競技場
コラムcolumn
シアトル・マリナーズ・セーフコフィールド
世界で2番目の開閉式屋根付き天然芝の野球場
雨が降ったときだけ閉じる。空調設備はない。
世界で2番目の開閉式屋根付き天然芝の野球場
雨が降ったときだけ閉じる。空調設備はない。
国立競技場は思い出深い場所である。高校がすぐそばにあったので有名プロサッカーチームが来日すると、授業をサボって、練習を見に行ったものだ。また、サッカー部の練習後、日本青年館(旧建物)で食事をとって代表戦を見に行ったりして、日常の中での特別な日を楽しんだものであった。また、競技場の職員のチームと練習試合もした。国立競技場や秩父宮ラグビー場の芝生のグラウンドで試合をし、他では味わえない芝生の感覚を味わった。その新国立競技場の建設をめぐって、今スタジアムのデザインが問題になっている。先日、改修案を検討する前に、国立競技場を解体させないため、手をつないで輪をつくって、国立競技場を囲むイベントに参加してきた。しかし、解体工事業者選定は2度目の入札も落札保留になったらしいが、残念なことに着々と解体の準備は進んでいるようだ。
デザインの評価はともかく、あの不定形の形態に開閉式の屋根を架けること自体が高さでもコストでも問題をひき起こしていると思う。観客席はともかくフィールド部分に開閉式屋根をかける必要があるのだろうか?開催時期は最も厳しい気候の7/24~8/9である。この時期に東京で開催することに問題があると思う。35℃を超える暑さと高湿度は空調が必要となる。また、そのような過酷な時期に海外から多くの人たちを呼び寄せるのは[お・も・て・な・し]なのだろうか?アスリートにとっても決して嬉しくないことであろうに。
近年のオリンピックはだいたい7月から8月にかけてである。1964年の東京大会は10/10~10/24日であった。東京ではこの季節がベストであると思う。ちなみに、その4年後の1968年のメキシコシティオリンピックは10/12~10/27。ソウルオリンピックは、1988年9/17~10/2であった。しかし、シドニーオリンピック(2000年)は9/15~10/1であった。せめてソウルやシドニーのような開催期間にならないだろうか?世界に土下座してでも開催期間を変更したほうがよい。原発が大丈夫だと確約した首相の発言のような嘘の上塗りになってしまうからか、開催期間の変更はいまさらいえないだろうけれど。
競技場のドーム化は1965年アストロドームに始まった。野球とアメリカンフットボールスタジアム兼用で、暑さや蚊の大量発生から球場内を守り、快適な環境を確保するために天然芝から人工芝に変えた。しかし、人工芝は選手の膝に負担がかかり、故障者が続出した。また観戦も、天然芝と青空の下での環境が見直され、現在ではフィールドは青空で観客席に屋根というのが、サッカー場を含めての世界の主流である。可動式屋根付きスタジアムがはじめてできたのは1989年ロジャーズセンター(トロント)であるが、人工芝であった。1998年完成のチェイス・フィールド(フェニックス)では、強烈な日差しを避け、快適な観戦環境を提供するため、試合中は屋根を閉じ、試合の開始前・終了後は芝生の育成のために屋根を開放る仕組みとした。同じように1999年セーフコフィールド(シアトル)が開閉式屋根付き天然芝の野球場となった。ここでは雨天時のみ閉じる。1993年の福岡ドームは開閉式屋根だが、ロジャーズセンター同様に人工芝である。ここでは試合中は何故か閉じて使う。しかしその後は、そのような大仕掛けはメンテナンスなどの問題で作られなくなった。ワールドカップ2022カタール大会では同様な可動式屋根・天然芝のスタジアムが予定されているが、ここでも同様の苛酷な環境での技術とコストが問題視されている。自然に逆らうことは如何なものかということだ。
新国立競技場では最終審査に残った11作品の中のひとつであるフランスの建築家案のようにフィールド部分のみをオープンにして屋根をなだらかな山のようにして植栽を植え、森を作り、建築を消すことがあの環境では一番ふさわしいと思う。もし、私に応募資格があったら、すり鉢状に地下に観客席を埋め込み、地下鉄から直接入ることができ、上もフラットにすることができ、完璧に建築を消すことができただろうにと勝手に思いこんでいる。
デザインの評価はともかく、あの不定形の形態に開閉式の屋根を架けること自体が高さでもコストでも問題をひき起こしていると思う。観客席はともかくフィールド部分に開閉式屋根をかける必要があるのだろうか?開催時期は最も厳しい気候の7/24~8/9である。この時期に東京で開催することに問題があると思う。35℃を超える暑さと高湿度は空調が必要となる。また、そのような過酷な時期に海外から多くの人たちを呼び寄せるのは[お・も・て・な・し]なのだろうか?アスリートにとっても決して嬉しくないことであろうに。
近年のオリンピックはだいたい7月から8月にかけてである。1964年の東京大会は10/10~10/24日であった。東京ではこの季節がベストであると思う。ちなみに、その4年後の1968年のメキシコシティオリンピックは10/12~10/27。ソウルオリンピックは、1988年9/17~10/2であった。しかし、シドニーオリンピック(2000年)は9/15~10/1であった。せめてソウルやシドニーのような開催期間にならないだろうか?世界に土下座してでも開催期間を変更したほうがよい。原発が大丈夫だと確約した首相の発言のような嘘の上塗りになってしまうからか、開催期間の変更はいまさらいえないだろうけれど。
競技場のドーム化は1965年アストロドームに始まった。野球とアメリカンフットボールスタジアム兼用で、暑さや蚊の大量発生から球場内を守り、快適な環境を確保するために天然芝から人工芝に変えた。しかし、人工芝は選手の膝に負担がかかり、故障者が続出した。また観戦も、天然芝と青空の下での環境が見直され、現在ではフィールドは青空で観客席に屋根というのが、サッカー場を含めての世界の主流である。可動式屋根付きスタジアムがはじめてできたのは1989年ロジャーズセンター(トロント)であるが、人工芝であった。1998年完成のチェイス・フィールド(フェニックス)では、強烈な日差しを避け、快適な観戦環境を提供するため、試合中は屋根を閉じ、試合の開始前・終了後は芝生の育成のために屋根を開放る仕組みとした。同じように1999年セーフコフィールド(シアトル)が開閉式屋根付き天然芝の野球場となった。ここでは雨天時のみ閉じる。1993年の福岡ドームは開閉式屋根だが、ロジャーズセンター同様に人工芝である。ここでは試合中は何故か閉じて使う。しかしその後は、そのような大仕掛けはメンテナンスなどの問題で作られなくなった。ワールドカップ2022カタール大会では同様な可動式屋根・天然芝のスタジアムが予定されているが、ここでも同様の苛酷な環境での技術とコストが問題視されている。自然に逆らうことは如何なものかということだ。
新国立競技場では最終審査に残った11作品の中のひとつであるフランスの建築家案のようにフィールド部分のみをオープンにして屋根をなだらかな山のようにして植栽を植え、森を作り、建築を消すことがあの環境では一番ふさわしいと思う。もし、私に応募資格があったら、すり鉢状に地下に観客席を埋め込み、地下鉄から直接入ることができ、上もフラットにすることができ、完璧に建築を消すことができただろうにと勝手に思いこんでいる。
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