アーキプラス

2019.06.30

85.モントルー・ジャズフェスティバル

コラムcolumn
 この6月29日より7月16日までスイスに行く予定である。スイスには、今まで1981年、1997年、1998年と3回行ってきたが、21年ぶりの旅行である。1981年は、ヨーロッパ建築旅行の途中でデンマークの王立美術アカデミーに留学していた友人とフィレンツェで建築修行をしている友人のところへ行く途中によった。大柄の男2人でモーリス・ミニの小さな車体に体を折りたたみ、途中アウトバーンでタイヤがバーストするなどのアクシデントがあったが、珍道中の二人旅であった。コルビュジェのロンシャン教会やドルナッハにあるシュタイナー学校の総本山「ゲーテアヌム」などを見て、アルプスのトンネルを越え、ティチーノ州にあるマリオ・ボッタの住宅などを見学してイタリアに渡った。1997年は久しぶりのヨーロッパ建築旅行でフランス、オランダ、ドイツ、スイスへとまわり、当時話題となった建築を見て回った。スイスではP.ズントー、ギゴン&ゴヤー、ヘルツォーク&D.ムーロンを見た。そこでは独特のミニマリズム志向に共感を覚えた。スイスの建築家の仕事に興味を持ったので、1998年、前半は単身で行き、レンタカーを借り、P.ズントーのブレゲンツの美術館やバルスの温泉施設などを見て、後半は妻とグリンデルワルドやツェルマットなどの観光スポットを訪れた。
 しかし、今回のメインの目的は、学生時代から行きたかったモントルーのジャズフェスティバルを見に行くことである。ジャズフェスと言ってもジャズは一部であり、ポップスやヒップホップやワールド・ミュージックなど音楽のジャンルの幅はとても広い。メインは20時スタートの3つのホールで行われるコンサート(スタンディングが半分以上)だが、昼から各所でいろいろなコンサートやイベントも行われる。レマン湖の船上でのコンサートや列車でのコンサートなどもある。6月29日から7月14日まで約2週間にわたってイベントが繰り広げられる。
 溜まりに溜まったクレジットカードによる航空会社のマイレージを使い(ビジネスクラスのチケットを取るのは非常に難しい)、開催の11か月前にフライト・チケットを手に入れた。これで予定が定まった。フェスティバル開催中、ホテル代は高騰し、予約も取り難いといわれるので、これも数少ないリーズナブルな宿泊先を予約することにした。フェスティバルの中心の会場になるカジノ(中にあのクイーンがつかったスタジオQUEEN STUDIO EXPERIENCEもある)から100mぐらいの好位置にある1865年開業の歴史あるホテルである。モントルー駅からも徒歩8分ぐらいの便利なところをおさえることができた。
 また、スイス・トラベルパスを購入すると、1等料金や特急料金が含まれ、湖船、バス、市内交通を含めてフリーパスになる。また、全国400ヶ所以上ある博物館、美術館も無料となる。連続15日のパスを買うことにした。スイスは、九州と同じくらいの広さで、鉄道も発達しているので、モントルーのホテルを根城にして、朝から20時までは鉄道を使い、いろいろこの21年間の間に新しくできた建築、未だ見ていない建築や景勝地を見ようと思っている。スイスは食堂車がまだ多く残っており、97年の旅行の時も愛用したが、行き帰りの車中の食堂車で休憩しながら食事し、忙しい毎日を過ごすことになるだろう。 
 旅行後は、建築、音楽、B級グルメ、鉄道、景勝地巡りなど多方面に欲張ったプログラムをテーマ別に紹介してゆきたいと思う。これから先にはもうないであろうと思われる一世一代のひとり旅である。
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