アーキプラス

2018.07.31

78.苦手なこと

コラムcolumn
写真:中世貴族の邸宅を模したブリティッシュヒルズの「リフェクトリー」
    研修者も宿泊者も一同にここで食事する。まるでハリーポッターの世界。
 この夏休み日光・那須・白河方面を旅行した。最後にブリティッシュヒルズというところを訪れた。ある語学学校が研修施設としてつくったもので、イギリスに行かなくても英語が学べるという施設ということである。公用語は英語で、気候もスコットランドに近い福島県の山奥海抜1000mのところにある。しかし、オランダ村とかドイツ村といった他国の文化紹介といったテーマパークではなく、自校、企業や学校のための研修施設としてつくられたようだが、今や宿泊やウェディングリゾート施設として活用もしている。日本にいながら中世イギリスの建築や街並みを体験できるということらしい。オーナーの趣味のような気もするが。
 英語は私の大の苦手である。中学校に入った頃、ビートルズの影響で興味を持ち、中学時代までは得意であったのだが・・・・。ただ反復練習が多い授業には辟易としていた。高校時代にサッカーに夢中になり、もともと嫌いであった英語学習はなおざりにされ、結局は怠惰であっただけなのだが、どんどん苦手になっていった。しかし、いくら英語が苦手になったからといって、大学受験だけは避けて通るわけにはいかない。当時ベストセラーの「試験に出る英単語」と「試験にでる英熟語」をとにかく暗記し、何とかしのいだ。その後、英語を使う機会はいくつもあったが、なるべく避けてきた。中国旅行(※ヤチダヨリ#66中国旅行1985・1参照)中ホテルのドミトリーでスウェーデンの医学部学生2人組と同室になった。「おまえは英語上手くないけれど、なんて難しい言葉をよく知っているんだ!1ヶ月も旅行するとすぐにうまくなるよ。」といわれた。しかし、いくら旅行してもうまくはならなかった。自分の言語能力に起因するものだろうと思われるが、突発性難聴(ヤチダヨリ#13キースジャレットと東京文化会館参照)のせいで聴きとりが悪い。とか、いろいろ理由をつけては下手を正当化し続けている。
 英語の他に苦手なことをさらに挙げるとスピーチ・ゴルフ・カラオケである。これらがなければ、この世は何と楽しいことだとも思った。人前で話すことは子供の頃から苦手だった。小学校の低学年時の通信簿にも発表力がないと書かれていたぐらいである。成長期にも上達せず、大人になっても、あがり症と言語能力の低さから、苦手意識がだんだん強くなっていった。10人位までの相手なら何とかなる。5人以内が相手ならむしろ得意かもしれない。しかし、数十人以上となるとからっきしダメになるのである。これも何とかしないといけないと思いつつもこの年になったのだから仕方がない。リラックスしながらもまじめにやるしかない。
 ゴルフも同様に苦手である。スポーツは大好きだし、小さい頃から体格には恵まれていたから、比較的何でもこなせたはずであった。若い頃から父親の練習場の迎えによく行った。そのついでにゴルフの打ち放しもした。父親は数少ない趣味の一つがゴルフでスコアもそこそこだったようだ。しかし、いざ自分でやってみるとなかなかうまくいかない。性格に合わないということか? 最近妻との付き合いでゴルフに行くようになった。しかし、一向にうまくならない。むしろへたくそになっていくような気がする。
 カラオケもその一つだった。歌える歌、歌いたい歌がなかった。会社組織にいなかったため、そういう場に出なくてもよかった。でもそもそも音楽は大好きであった。自分の声域に合う歌を探し何とか歌うようになった。演歌・歌謡曲は大嫌いのはずであったが、結構うまく歌える曲があるのに気が付いた。嫌いでもはやった曲は耳で憶えている。恥ずかしながら歌えば歌える、しまいには朗々と歌ってしまう。このカラオケに関しては苦手を少しづつ克服しつつあるかもしれない。苦手ながらも楽しむことができればよい。そう思って英語もスピーチもゴルフも楽しもうと思う。
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